デジタルトランスフォーメーション(DX) についてZoomウェビナー開催


2020年12月3日に開催されたウェビナー「デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義 経産省担当者、東大准教授に聞く!そもそもDXとは?」において、経産省のデジタルトランスフォーメーション推進施策担当者の石田紗子様と人工知能(AI)技術の社会応用等を専門とする東大准教授、鳥海不二夫先生が「DXとは?あるいはその推進の意義は?政府の政策は?」をテーマに講演しました。

ここでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)をどう理解して、どういう行動をしていけばいいのかディスカッションを通して理解を深めていきます。講演の模様をレポートします。

目次

1. 経済産業省によるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進施策について

 1.1なぜ今=デジタル技術の進展

 1.2デジタルトランスフォーメーションDXの必要性

 1.3 DX実現に向けて

2. 経済産業省のDXの政策体系

3. DX推進指標について

1. 経済産業省によるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進施策について

経済産業省によれば、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、平成30年に発表した※DXレポートによって定義されています。以下は、デジタルトランスフォーメーション(DX)には該当しない、と説明しています。

経済産業省DXレポート:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

・プロセスを電子化する

・データをとって使う

・レガシーを刷新する

・人間をAIにおきかえる

つまり経済産業省は、ただ企業のデジタル化をすることがDXではないと言っています。経済産業省のいうDXとは、デジタル技術使って本当にやりたことやるということです。しかし、その道のりは簡単ではなく、経済産業省でさえ手探りの段階です。

1.1 なぜ今=デジタル技術の進展

  1. 通信技術 (5G、通信ネットワーク)
  2. 情報処理技術の変化 (AI、大量のデータ処理、自動化)
  3. インターフェースの変化 (センサー、携帯電話)

デジタル技術の進展により、ネット内で起きていたことが他の産業分野に移っています。具体的には、5G、AI、ビッグデータにより産業界が大きく変化しています。

1.2 デジタルトランスフォーメーションDXの必要性

経済産業省は、顧客のニーズに応えることが、企業が本当にやりたかったことなのではないか?という前提で話されています。現在、90%以上の予算を既存の※レガシーシステムのために使っているという企業が50%ほどあると説明しています(守り主義、日本的なビジネス)。

対してアメリカは、2013年頃から「攻めのビジネス」を行なっています。レガシーシステムとは、古い老朽化したシステムのことを言いますが、完全に老朽なシステムは無いという企業は、13.5%しかありません。それだけ、老朽化したシステムを抱えた企業が多いということです。

日本では、レガシーシステムがDXの足枷になっていることが分かります。このままいくと、「DXの崖」により2025年以降に12兆円の経済損失が発生してしまいます。

※レガシーシステム ・・老朽化したシステムのこと

経済産業省DXレポート:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

1.3 DX実現に向けて

2020年12月3日に開催されたウェビナー「デジタルトランスフォーメーション(DX)の本質!経産省担当者、東大准教授に聞く!そもそもDXとは?」において、経産省のデジタルトランスフォーメーション推進施策担当者の石田紗子氏と人工知能(AI)技術の社会応用等を専門とする東大准教授、鳥海不二夫先生のディスカッションをまとめています。

1.経営の改革

・経営者自らが、ITシステムの現状と問題点を把握し、適切にガバナンスする

・PoC(Proof of Concept)貧乏からの脱出(※デジタルで何かやれ!)

※ PoCとは? https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-glossary/poc.jsp

2.システムの刷新

・老朽化システム(レガシーシステム)を刷新し、データ連携・利活用・アジャイル開発等に適したシステムにする

・ヒト・カネ等のリソースをシステム維持から解放

※アジャイル開発とは?

3.ユーザー・ベンダ間の新たな関係

・アジャイル開発等に適した新たな契約

4.人材の確保・育成

・デジタル技術を駆使して新たな価値を生み出せる人材の確保

・老朽システム維持のため人材をロックイン

2.経済産業省のDXの政策体系

経済産業省では、企業にDXを働きかけています。認定基準を上回るとDX企業として認定され、認定はIPA情報処理推進機構が管理しています。DX認定基準は、DXの準備ができている企業が対象となり募集も始まっています。

また、経済産業省にはDX銘柄攻めのIT経営銘柄という計画もあります。なでしこ銘柄というものもあります。なでしこ銘柄は、デジタル化の世の中に向けた女性のための対策で2021年に申請を受け付ける予定です。

※経済産業省 「DX認定制度とは」はこちら https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html

※IPA情報処理推進機構の (DX認定制度)はこちらhttps://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxcp.html

※経済産業省「DX銘柄/攻めのIT経営銘柄とは」はこちらhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/keiei_meigara.html

※経済産業省「なでしこ銘柄とは」はこちらhttps://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/nadesikorepoto.pdf

3. DX推進指標について

ここでは東大准教授、鳥海不二夫先生と経済産業省、石田紗子氏のディスカッションの様子をまとめています。

先生:企業の方でレガシーシステムが消えないという話があり、その70%が足枷になっています。経済産業省のいうDXでは、レガシーシステムを活用しないということですが、どのように対策するのですか?

経済産業省:現状では、経済産業省は具体的な例を提示できない段階にある。しかし、ここでは、製造業のDX企業の代表としてコマツ製作所を取り上げています。コマツ製作所は、施工管理をDX化することにより、品質が向上しています。

先生:DXには、経営の改革の視点(ビジネスモデルを変化させる)という心構えシステムの刷新という2つの視点があると思います。

経済産業省経済産業省は、経営者自身が企業をデジタル化するという意思を持つ事が目的と語っています。

経済産業省:理由は、現在の日本はITを担当している人材・営業・経営の間の対話が少ない。そのため、経営者がデジタル化を把握してもらいたい。そのために、経済産業省はDX化を狙っています。

先生:経済産業省の言うように、意識改革は重要だと思います。以前セミナーの数百人規模の開場で、今後AIを導入したいかと聞いたら、導入したいという企業は10社くらいでした。そこには、やる気はあまり感じられませんでした。DXもこのAIのような同じ匂いを感じています。一方で、AIに関して言えば、エネルギー業界水産業界法務業界などでの活用が始まっています。時代はデジタルトランスフォーメーション(DX)だけど、レガシーシステムがあるから、システムの置き換えで終わってしまうかもしれないと考えています。そして、このシステムの置き換えだけで、DX銘柄の認定してしまう可能性があります。

経済産業省:DX認定、DX銘柄や働き方改革はみんな知っています。今後は、DX銘柄に認定されていないと、「働き方改革」さえ理解していない企業だと思われてしまう可能性もあります。補助金だけでは、改革になりませんし、DXを実行しないと生き残れないと思っています。

先生:DX銘柄になることでメリットはありますか?将来的には全ての企業がDX企業になると聞こえてしまいます。

経済産業省:今後は、デジタル化しない企業は死んでしまうかもしれません。経営改革としてデジタル化している企業にDX認定しようと考えています。

先生:経営者もすぐにDX化は思いつけません。具体的に経済産業省がどう進めればいいのか指示しなければならないのでは?

司会経済産業省は、意識の改革がメインではないか。経済産業省は、そこまで踏み込まないと私たちは考えています。つまりマインドがメインであり、もう一つはインフラの刷新です。この2つが分かりやすいので、経済産業省はこれがDXであると考えていると私たちは見ています。

経済産業省:経済産業省には現在、DX専門の担当がいて、特に製造業のDXが進んでいます。

先生経済産業省やお役所は、DXに対する意識が低いと思います。ハンコを止めてエクセルや自動化の処理をしただけでは、DXにはなっていません。経済産業省よりもデジタル省の方が、DX化が進んでいるのではないですか?

先生:これでは、企業が勝手にアイデアを出して、自分達でDX化して下さいという事になりませんか?企業は、DX化しなくても、もともとアイデアを出さないと生き残れないのではないですか?大学はDX化しなくても生き残れそうなので、他人事みたいになってしまいますが(笑)。

先生:大学は、シラバスもデジタル化が進んできました。そのため、だいたいはオンラインで済むようになり、学生達が困らないようになっています。しかし、学生は4年で卒業してしまいますが、大学の事務はデジタル化によって大変助かっています。今後も学校関係は安泰なのではないでしょうか。

司会:コロナで東大のデジタル化は変わりましたか?

先生:よりオンライン化、オンデマンド化が進みました。実際に授業をビデオに撮っておくことが大切だと思います。ビデオなら朝遅れても好きな授業が受けられるようになります。私は、DX認定は形骸化してしまうのではないかと危惧しています。

先生ベンチャー企業は、DX認定されないかもしれません。DXによって様々なデータを取れるようになるのは、良い事だと思います。具体的な人間の行動のデータが取れることも、いい事だと思います。とはいえ、全てのデータを取ればいいというものではない。プライバシーの問題もあるからです。

経済産業省:日本の方が世界よりもデジタル化が遅れていると思います。中国は個人情報を国が所有しています。しかし、日本はそうではありません。中小企業のDXのメリットは、大企業とは分けて考えます。中小企業は、経済状況の影響をかなり受けます。つまり、テレワークがDXと考えています。

先生:どうすれば、中小企業が苦しまないで済みますか?企業がデジタル化すれば、対応できるとは私は思いません。経済産業省は、良いDX事例と悪いDX事例を説明できるようにしないといけないと思います。

先生:一番必要なのは産学連携で、大学・企業は技術側を提供します。そのためには、「これをやるぞ!」と決めてからDXを行うのがいいと思います。AIのときもそうでしたし、DXもそのように始めるのがいいと思います。「これをやりたい!」というところを経済産業省が明確にすれば、大学や企業も経済産業省に協力しやすくなると思います。

経済産業省:現在、DX認定でお金のプラスは今のところありません。詳しくは経産省の資料をお読み下さい。

参考URL:

https://www.meti.go.jp/policy/digital_transformation/article01.html