エネルギー業界でのAI活用事例を紹介

エネルギー業界について

 

IoT技術によって、多くのものがインターネット上に繋がるようになってから、電気で制御されるものが増えその必要性も増しています。そのため、社会基盤としての電力・エネルギーの存在は大きくなっており、より安定的な供給が求められています。各国の最大電力を見ても、日本の約16,000万kw中約6500万kWが東京の電力であり、イギリスやイタリア一国以上の規模に相当します(※グラフ1)。東京の電力業界は、世界有数の超過密地域・中央官庁密集地域で60年にわたり、停電回数や停電時間そして送配電ロスが世界トップクラスの水準を誇っています。

このような安定的に電力を供給する日本のエネルギー業界は、長期にわたり安定して電気を供給できるよう、設備の点検から補修、交換、改善など様々なメニューを用意しています。また近年のエネルギー業界では、過去の蓄積データをもとにAIを活用したモデルの作成から、システムへの組み込みを行い効率化を追求しています。

エネルギー業界の課題

現在の電力業界が抱えている課題は大きく下記の2つが挙げられます。

1. 安定的な電力の供給

2. 電力ネットワークの効率化・低コスト化

安定的な電力の供給

今後、電気自動車などの乗り物が当たり前の時代になり、生活にはコンピューターや各種通信デバイスなどの使用が増え、それを支えるサーバーにも膨大な電力が必要になります。また、一番の問題とも言える環境問題に対応するために、再生可能エネルギーの使用率を高めていかなくてはなりません。

そんな社会を支えるインフラとなるのが、電気やガスなどのエネルギー業界です。今後の東京圏の人口増を考えても、さらに安定的・効率的な電力供給を行う必要があります。また、東京をアジアの中心的な金融都市にするためにも、現状と同等かまたはそれ以上に安定した電力インフラ(※グラフ2)が求められています。

電力ネットワークの効率化・低コスト化

日本の経済・産業の中心である東京・東京圏の電力インフラの重要性を考えると、安定的な供給と共に、電力ネットワークの効率化・低コスト化が必要です。電力の託送料金(電力を送るための送配電ネットワークの利用料金)を低い料金水準に設定することで、徹底的なコストの削減を行い、同時に電力ネットワークの最高率化を図ります。

コストの削減は、建設工事費の見直しやスマートメーターの活用、電力料金の課金の見直し等によって取り組み、国際的な電力の託送料金を目指します

※参考:東京電力HP(2013年度実績値

エネルギー業界におけるAIの活用事例

『クラウドをプラットフォームとする人工知能(AI)を活用した架空送電線診断システム)』

従来は、電力の架空送電線の安全性確認の際、通常、保守作業員によるスコープを用いた地上からの点検や、実際に鉄塔に昇り専用の器具で送電線にぶら下がっての点検を行っていました。

また、山間部など保守作業員が容易に確認できない一部の架空送電線については、ヘリコプターで撮影したVTRを、作業員がスローモーション再生で点検を行っており、当該作業に長時間がかかっていました。

そのため、『架空送電線診断システム』では、点検品質の向上と、さらなるコスト削減を目的とした効率的な安全性確認を実施しています。

このエネルギー業界の事例では、架空送電線のメンテナンスを人ではなくAIに任せることで、人員の削減とコスト削減を可能にしています。

解決策

ここでの解決策は、架空送電線のVTR撮影データをAIに分析させることで、人員削減と良質な情報が得られることを目指します。膨大なデータの処理は、人員では個人により結果の質が異なるため、AIに分析させることで一定レベルの質の情報をアウトプットさせるようにします。

・これまでに蓄積してきた架空送電線のVTR撮影データや点検技術をAIに学習させ、深層学習させる。

・ドローンで撮影した架空送電線のVTRデータから異常を自動判定できるようにする。

・これまで作業員が確認していたVTRによる点検作業をAIが行い、異常検知の高度化と、点検作業時間の短縮を目指す。

効果

ここでの効果は、架空送電線の分析をAIに任せることで、人員の削減と精度の高いアウトプットが得られました。そのため、人員はより必要な業務に取り組むことができ、コストの削減とシステムの効率化に繋がります。また人員の疲労も軽減することができ、社員のやる気アップにも繋がります。

・電力設備のメンテナンスが容易になることでコスト削減が可能、電力の安定供給に繋がる。

・ドローンで撮影した架空送電線のVTRデータから異常を自動判定でき、人員が不要になり、人はより効率的な仕事に取り組める。

・VTRによる点検作業をAIが行うことで、精度の高いアウトプットが得られるため、異常検知の高度化と、点検作業時間の短縮に繋がる。

『人工知能(AI)で電力ネットワークを最適化する)』

エネルギー業界では、人口知能(AI)を活用した電力ネットワークの最適化が行われています。過去の発電機設備の稼働データやメンテナンスデータ・ベテラン作業員のノウハウなど、過去数十年分のデータをAIにより解析し、稼働率を上げることで電力ネットワークを最適化します。

従来の電力メーターからスマートメーターを活用し、人件費の削減や情報の収集・分析により電力需要の予想、より効率的な電力の供給が可能です。

このように「人工知能(AI)を使用した電力ネットワークの最適化」は、発電効率の向上と更なるコスト削減を目的とした効率的な電力ネットワークを実現します。

解決策

発電設備における発電量の予測や、スマートメーターの情報を解析し消費電力量を予測、発電所における燃料の燃焼効率の最適化を行い、効率的な電力インフラの運用を目指します。

スマートメーターで電力量の予想をすることにより、貯蓄電力と発電電力の使い分けを行い、省エネ化と安価で電力を供給できるようにします。

発電機の燃焼効率の最適化には、温度測定用IoTセンサーとローカル5G回線を使用したビッグデータの収集・解析を行い、AIからの結果を反映して作業員が運用します。また発電機のトラブル等は、パソコンや外出先のタブレットやスマートフォンでモニタリングし稼働率アップを目指します。

・スマートメーターによる情報の収集・解析

・火力発電所における燃料の燃焼効率の最適化

効果

火力発電所における発電機の燃焼効率をAIにより最適化することで、運用コストの削減が可能になります。また、発電機のトラブルを事前に知る事ができるため、人員の削減に繋がり人はより必要な業務に取り組むことができます。また、メンテナンス要員の疲労を軽減することができ、コストの削減と業務の効率化にも繋がります。

・発電機の燃焼効率を人口知能(AI)で分析することにより、燃焼効率の最適化を行い、より少ない燃料で多くの電力を発電することができる(省エネ化)。

・ IoTセンサーによって発電機の燃焼管理を行う事により、トラブルを事前に防ぐ事ができメンテナンスが容易になる。結果的にコスト削減と電力の安定供給にも繋がる。

・発電設備の異常を自動判定することによって、メンテナンス要員が不要になり、人はより効率的な仕事に取り組むことができる。

・スマートメーターの情報を活用することにより、電力の需給状況をコントロールすることができ、省エネ効果が期待できます。

まとめ

今回取り上げたのは、送電線のメンテナンスについてですが、電力インフラでは発電機などにも同様のAIによる故障監視システムが取り入れられています。これにより、従来と比べて人員の削減とコスト削減を可能にし、電力の安定供給に繋がります。

AIが産業に役立つ点として、「量的観点」と「質的観点」の2つから見る事ができます。量的観点では、従来であれば人が全てのデータを確認し、知的作業でありながら労働集約的な作業となっていたため、人員の確保と時間の確保に問題がありました。質的観点では、その膨大なデータを人が処理する場合、個人の経験や知識によって情報の質が異なっているという問題がありました。

しかし、AIによって労働集約的な作業を行うことで、人は本来のより創造的な仕事に取り組めるようになりました。また、情報も一定レベルの質を担保できるようになります。このような取り組みによって、より効率的で安定的な電力の供給が可能です。

また、人への負担が減る事で社員の向上心や学習心も向上します。このように、AIと人が共存することで企業と人の発展に繋がり、今後もさらなる利用が増えると予想されています。

参考URL:

https://power.mhi.com/jp/products/storing-wind-and-solar-energy

https://www.accenture.com/jp-ja/insight-utility-energy-ai

https://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2017/1465460_8686.html

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